過去との対話を楽しめる…そんな人間でありたい

まずは読んだ本の紹介……そして広がる世界……だといいなあ

006)やっぱり、フィッツジェラルドは上手だなあ

 

 

このあいだ、フィッツジェラルドを読んだ

 

tankob-jisan.hatenadiary.jp

 

F・スコット・フィッツジェラルド

 

代表作はもちろん The Great Gatsby

 

青年時代に必ず読む本……のイメージがあるけど
むろん、これは、前世紀の話
今世紀はどうなのか、年寄は知らない

 

邦題は
偉大なるギャツビー」なのか
華麗なるギャツビー」なのか
このどちらかだったのだが、

 

村上春樹が訳してから一般的に「グレート・ギャツビー」になった

 

 

そして
気づくと、野崎孝訳も「グレート・ギャツビー」に替わっていた
むかし、読んだころは「華麗なるギャツビー」だったのにw

 

 

村上春樹は偉大だな

あんまり、カタカナ英語の羅列は好きじゃないけどね

 

今回読みなおそうとしたら、不思議にも電子本棚にない……

残り少ないリアル本棚にもない……

 

本って不思議となくなるもの

 

もう一度、買いなおさないと

 

 

華麗なるギャツビー」の映画もたくさんある

そういえば、映画の題名は

グレート・ギャツビーじゃないんだな

なぜだろう?

 

ディカプリオ版はみてない

 

 

観たことがあるのは、レッドフォード版
ああ、二十年代だなあ、という感じがとてもする

「スティング」といいレッドフォードは時代物が似合うのかな

 

 

Babylon Revisited

 

一方、今回読んだ短編集の中に
Babylon Revisited、という短編がある

 

普通の邦題は、「バビロン再訪」
村上春樹訳だと「バビロンに帰る

 

ところが、この短編を原作とした映画が

 

The Last Time I Saw Paris
雨の朝巴里に死す

 

 

という名前なので

角川文庫のBabylon Revisitedの邦題も
雨の朝パリに死す」になっている

 

ああ、ややこしい

 

そして、そこから
角川文庫の短編集自体のタイトルも「雨の朝パリに死す

 

 

ややこしいったら、ありゃしないw

 

岩波文庫新潮文庫の短編集は
そのまま「フィッツジェラルド短編集

 

 

まあ、収録されている作品が若干違うだろうけど

 

そして、村上春樹の訳した本は
バビロンに帰る ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック2」

 

 

ややこしいったら、ありゃしない

 

さてさて、今回読んだ
短編集「雨の朝パリに死す」のうち


カットグラスの鉢

粗っぽい石器時代があり、なめらかな石器時代があり、 つぎに青銅時代があり、それから何年もの後にカットグラス時代があった。
このカットグラス時代には、若いご婦人がたが、長い、くるっとひねった口ひげをたてた若い男性をくどき落として結婚をすると、二、三か月後に彼らは腰をかけ、あらゆる種類のカットグラスの贈り物への礼状をしたためるのだった。(p5)

 

粗っぽい石器時代、滑らかな石器時代、青銅器の時代
そして、カットグラス時代……え???

 

この出だし、素晴らしいでしょ

 

題名にもなっている大きなカットグラスの鉢
小道具……いな、大道具であり、
主人公の女性の心理描写そのものにもなる

 

フィッツジェラルドって、本当に小説が上手だなあ、という印象

 

雨の朝パリに死す(バビロン再訪)

「祭り」の中の青春があり
その「祭り」の後の話

 

「祭り」はおわるから、「祭り」なんだよね
前回書いた、パリ・コミューンにもつながる話

 

ここでいう「祭り」とは、
むろん、狂乱の二十年代(ローリング・トゥエンティーズ)
1920年代のこと

 

まさに、フィッツジェラルドの時代
(「グレート・ギャツビー」だね)

 

この狂乱の二十年代についても、いろいろ語りたいことがいっぱいある
が、それはともかくとして

 

「祭り」が終わり、混乱し、倒れ……
そして(自分の意識としては)立ち直り、

 

いま、バビロン(=パリ)に戻ってくる
残した娘を引き取りに……

 

でも、そこはバビロン=退廃した都市、
終わったはずの「祭り」をいまだ続ける人々が引き戻そうとする……

 

よくできた構成

 

だからこそ、
「祭り」の始まり、熱狂、崩壊……そして、
という長編で読みたかったなあ

 

一応、短編集それ自体が、執筆年代順になっている

 

19年の作品、22年、23年、25年
そしてこの作品が30年

 

その結果
読者は、その「祭り」の経過を垣間見ることができる

 

そして、その「祭り」の終わりも……

 

 

でも、やっぱり、長編として、読みたかったな


フィッツジェラルドの短編集
読みやすいので、おすすめよ