過去との対話を楽しめる…そんな人間でありたい

まずは読んだ本の紹介……そして広がる世界……だといいなあ

031) 古代ローマの本について、ちらほらと

前回のブログを書いた後、ふと、古代ローマの本を読みたくなった

 

その理由はあとで述べるつもりだが
そのために、書くべき予定で準備していたものが、後回しになる
これがぼくの悪いところで、あっちへふらふら、こっちへふらふらとしてしまうのだ


なんとか、今週来週とブログを多めに書きたいと思うのだが、果たしてどうなるだろうか


んで、今回の本題は古代ローマ

 

昨今、古代ローマも人気のカテゴリーらしく、関連する本も多く出版されているみたいだ
前世紀とは 隔世の感あり ということだろうか


ぼくの電子本箱にも古代ローマの本はかなり多い方だと思うが

このジャンルはやはりギボンの『ローマ帝国衰亡史』をあげるべきだろう

 

ぼくは、岩波文庫版も、ちくま文庫版も持っているのだが、まだちゃんと読んでいないw
死ぬまでに、読むべき本の一等上にランクインしているのだが……

 

 

同じ本で、二つの版を持っているといえば、
シェンキェヴィチの『クォ ヴァディス』(河野与一・訳)『クオ・ワディス』(木村彰一・訳)、ともに岩波文庫

 


昔々、若いころ、旧漢字の河野版を一生懸命読んだ覚えがある
それが何十年かして、木村版を読んだら、それはそれは読みやすかった(当たり前か)


ローマ軍人ウィキニスとキリスト教徒の少女リギアの恋愛を軸に、
狂言的な役回りのペトロニウスが皇帝ネロの時代をぼくらに伝えてくれる
クライマックスは、もちろん、ローマ大火とキリスト教徒の迫害


大河小説ってこういうものですよね~と、楽しく読める


詳しくは、別の小説と合わせて、お話したいので、別の機会に……


さて、今回、まず読んだのは
『ローマはなぜ滅んだか』 (弓削 達  講談社現代新書 1989年)
1989年! 30年以上振りに読んだことになる 

 


この、とてつもなく、魅力的な題名を持つ本書は
ローマ帝国の支配の実情をまず述べる
 ・道路網 (これはペルシアの王の道の模倣だし、そもそもアッシリアの駅伝制度だろう)
 ・経済構造とその実体、その経済的基盤(古代に資本主義はあったのか?)
 ・爛熟したローマ社会・生活風景(女性解放、性の解放??)

 

そして、この後、「なぜ滅んだのか?」という考察に入るわけだが、
 ・ローマ帝国内の「中央」と「周辺」
 ・「中央」としてのローマ帝国と「周辺」としての帝国外部
 ・ローマ帝国末期ローマ人のゲルマン人


作者は、最先進国としてバブルに沸いた当時の日本社会を念頭に、「ローマの滅亡」の原因をこう述べる


「中央」と「周辺」の交代をローマ人たちが認識できなかったことが、ローマ文明の最終的な崩壊へつながった、と。


「周辺」から「中央」への変化はわかりやすいが、
その逆を自分たちが認識するのは、すごく難しいということだろう


失われた30年が続き、「衰退国家」日本というワードが、いまや毎日のように語られるようになっているが、
はたして、「周辺化」という事実をぼくらは受けれいることができるのだろうか?


……
いつものことだが、話がそれてしまった
話をローマの本に戻そう


前回、「英雄譚」について書いていた時に、
『ローマの歴史』(中公文庫 I.モンタネッリ 1979年)を思い出した

 

 

このモンタネッリの『ローマの歴史』以上に、「おもしろい」歴史物語はないだろう
昨今、ローマ史関係の本は数多くあると思うが、「おもしろさ」ではこの本に勝る本はないんじゃないのかなあ


神話時代のローマ建国から、東西ローマの分裂まで、
政治史だけではなく、文化や社会まで、
後期帝政に関しては、ちょっと駆け足だけれど
そもそも、この時代の話は複雑怪奇でわかりにくいので仕方がないw


丁寧でいて、かつ簡潔、さらには非常にウィットにとむ文章
つぎからつぎへとページをめくってしまう快感
こんな文章をぼくも一度でもいいから書いてみたいものだ


もしも、ローマ史を知ってみたいな という人がいれば、
ぼくが一番にお勧めする本である


そして、この本の始まりのあたりにこんな文章がある


「負けいくさに武勇伝はつきものである。負けた時には『栄光のエピソード』を発明して、同時代人と後世の目をごまかす必要がある。勝ちいくさにはその必要が
ない。カエサルの回想録には武勇伝は一つもない。」(『ローマの歴史』 p53)


英雄を称賛することにはやぶさかではないが
個人の英雄的な行為によってしか成り立たない国家を手放しで称賛することができるだろうか?


と、前回のブログで書いたときに、上の文章を思い出したのだ
もう何十年も前、最初にこの本を読んだとき、一番最初に心に残った部分だ


「まったくその通り」
と、ぼくが当時も、そして今も同じ感想なのは、
ぼくが進歩していないからなのか、それとも……