過去との対話を楽しめる…そんな人間でありたい

まずは読んだ本の紹介……そして広がる世界……だといいなあ

033) 今回のロシアによるウクライナ侵攻について……

川島雄三の映画の話をしようと思っていたら、
ロシアがウクライナに侵攻してしまった


このブログで時事ネタはいかがなものかと思っていた
しかし、この状況下で全く無視するのも、それはそれでいかがなものかという気がする


なので、川島雄三は、次に回して、ちょっとだけ考えてみる


あたりまえだが、ぼくは単なる素人なので、詳しいことを語る気もないし
どこかの責任を追及したり、また煽ったりしたりするつもりもない


今回のウクライナ問題が話題になり始めたときに
オリンピックが終わったら、ロシアは侵攻するだろうと思っていた
というより、プーチン大統領は引くことができないだろう、と


第一に
ウクライナが敵性同盟のNATOに加わることをロシアは座視できてない
喉元にナイフを突き刺される前に、その危険を排除しざるを得ない
それが、ロシアの言い分であろう(それが正しい、正しくないの話ではない)


第二に
そもそも今回のウクライナ問題が起こった始まりは
2014年ソチオリンピックの時に親ロシア政権が倒されたことに始まる
オリンピック中でロシアが動けないことを見越して……と勘繰りたくなるタイミングで
そして、今年北京オリンピック中に事を動かせば、中国のメンツをつぶすことになる
自分はメンツをつぶされたプーチン大統領は、中国のメンツを大事にするだろう


そもそも東中欧諸国がそれぞれが多く中世に起源をもつものの
実際には第一次世界大戦後に、西欧によるソ連に対する緩衝国として建国された
という、悲しい現実がある


そして、バルカン半島の話の時に軽く触れたが、
それぞれ民族で分断され、モザイクのような小国が乱立してしまった
(それぞれが自分たちの歴史上一番広い領土の時を理想にするから、さらにややこしい)

 

tankob-jisan.hatenadiary.jp

 


その結果、
ロシアも、そして東中欧諸国も、お互いに恐怖心を持つことになる


つまり、
ロシアは、西欧からの侵略の歴史(ナポレオン戦争、対ソ干渉戦争、ナチスドイツ)におびえ
中欧は、ぎゃくにロシアの支配の歴史(ロシア帝国ソビエト連邦)におびえる


この恐怖の連鎖が排外主義と安全保障への過度の傾斜を呼んでしまう


英米はこの恐怖心についての認識が少し甘かったのじゃないかなあ
と、素人考えですが、ぼくはそう思う


以下、古い本が多いけど、
この周辺についての、ぼくの電子本箱から、いくつか紹介を


『ロシアとソ連邦』 (外川継男 講談社学術文庫 1991年)

 

 

キエフ・ルーシ(キエフ・ロシア、あるいはキエフ国家※)から
ちょうど冷戦が崩壊するぐらいまでのロシアの通史であ、
今のロシア連邦についての記述はない
が、啓蒙的なロシアの通史としては出来がいいと思う


※ロシアの、ウクライナの、そしてベラルーシのオリジンであるこの国家についての名称を確定できないところも、今回のウクライナ問題の根っこにある


『物語 ウクライナの歴史-ヨーロッパ最後の大国』 (黒川祐次 中公新書  2002年)

 

 

ウクライナの通史になると、ロシアよりももっと少ない
その意味では今でも貴重な本、増補版が出てくれると嬉しいな
キエフ・ルーシから独立までの通史になる
作者が歴史学者ではなく、外交官であることも、この国の歴史が我々にとって空白に近いことを教えてくれる

 

ソ連史』(松戸清裕 ちくま新書 2011年)

 

 

ソビエト連邦史の啓蒙書
ソ連が崩壊して、20年ぐらいたたないと、一般的な通史をなかなか描きにくい
そこが歴史学という学問らしさである


ロシア革命--破局の8か月』 (池田嘉郎 岩波新書 2017年)

 

 

1917年ロシア革命で何が起こったのか
ぼくは1904~24年までのロシア革命全体について整理ができていない
第一次世界大戦とロシア、そして革命に対する干渉戦争
これらを含めた全体像がわからないと、ソ連もわからないのじゃないかなあ


『ロシア精神の源-よみがえる「聖なるロシア」 』(高橋保行 中公新書 1989年)

 

 

ギリシア正教からロシア精神を考える本
ロシア文明が西欧文明と違うものであるとしたら、やはりギリシア正教についてもっともっと知るべきだろう
千年以上にわたるロシア文明史に最も影響を与えているのがギリシア正教なのだから

 

……
まあ、月並みだが、
市井の人々の被害が少ないことを祈ります
どんな時も一般市民が犠牲になるものだから