過去との対話を楽しめる…そんな人間でありたい

まずは読んだ本の紹介……そして広がる世界……だといいなあ

013) ぼくは算数ができない

まだ このブログに出てきていない趣味が一つあるのだが
その趣味をする際に、数を多く数える必要がある


これが困ったことに、
ぼくは繰り上がりや繰り下がりの計算が苦手なのだ
繰り上がりはまだしも、とくに繰り下がりは……時間がかかるw


だから、その趣味で、いつも苦労ばかりしている


算数が苦手なのは、それ以外の日常でも足を引っ張る


たとえば、(時刻ではなく)時間を数えるのにも
しばしば指を使わなくちゃならないぐらいだ

 

指を使って数える


まさに、自然に数えるから「自然数

ヒトが指で数を数えたときから、「数」は始まったのに違いない

 

「個体発生は系統発生をまねる」
という説が、生物学的に正しいのか、
ぼくは正確にはわからないのだが、


学ぶというのは、
人類の歴史の中で増えてきた知識(系統発生)を
個人がその発展を再現して知識化する(個体発生)ことに他ならない

 

自然数から始まって、整数、有理数、実数へと
具体的、個別的な算数から抽象的、法則的数学へと
初等教育中等教育で学んでいく作業も


この「個体発生は系統発生をまねる」という一例であろう

 

 

話を少し変えて

 

今回、
「数学の生い立ち」 (岩波新書旧赤版) 吉田 洋一 (1939,1956改版)
を読んだのは、

 

 

前回
「バルカン 」 (岩波新書 旧赤版) 芦田 均 (1939)
読んだので、

 


「よおし、岩波新書の旧赤版を読む!というシリーズをしよう」と思ったからに過ぎない


ぼくの電子本箱の中の数少ない旧赤版の一つが「零の発見」だったのだ

 

 

ここで、話を戻す

 

上記のように、ぼくは算数ができない
したがって、数学もあまり好きではない


しかし、この「零の発見」を、こんな僕でも楽しく読むことができた

 

零の発見、記数法
中世の計算の仕方からアバカス・そろばん、計算尺、そしてコンピュータへ
小数の発生、対数の発生……

 

ja.wikipedia.org

 

ja.wikipedia.org

 

対数!

 

対数がなぜ必要だったのか、
この本のように歴史の流れの中で教えてくれることはほとんどない


必要性ということが理解できれば、
計算への親しみも湧くに違いない

 

 

別の例も考えよう

 

ぼくらが覚えさせられた
(x+1)の2乗=xの2乗+2x+1

 

これは

 

二つの平方数の差
(x+1)の2乗-xの2乗=2x+1
が必ず奇数(2x+1)になる


という意味になる

 

つまり、下の図になる

 

◇◇◇◎
◇◇◇◎
◇◇◇◎
◎◎◎◎

4×4の正方形から
3×3の正方形を引けば
◎の7が残る

 

この◎のL字型の図形を「グノモン」と古代ギリシア人は呼んでいたという(前掲書p106)

 

ぼくらが中学生のころ学んだ数学というのは、
じつは古代ギリシアピュタゴラスの数学ともいえる


「個体発生は系統発生をまねる」のだ


2500年前の英知が今に引き継がれる不思議
無味乾燥だと思われる数学の奥の深さ


その不思議さを見つけられる「零の発見」が
80年にもわたって読まれるのも、不思議ではない